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製造DXコラム

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中堅製造業の業務改革とERP導入の実践的アプローチ~経済産業省が推進するガイドラインに基づくDX支援方法~

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2025年2月5日に、「(西日本向け)中堅・中小製造業の業務改革の秘訣とは?スマートマニュファクチャリング構築ガイドラインで学ぶ全体最適化とERP導入ポイント」というセミナーを開催しました。今回はその講演内容のポイントについてご紹介します。

製造DX推進のための、経済産業省「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」とは?

まず始めに株式会社日本能率協会コンサルティングから、製造業におけるDXを推進する目的で経済産業省が公表した「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」についての解説がありました。

このガイドラインは、2024年6月末にNEDO(国立研究開発法人新エネルギー産業技術総合開発機構)から公開されたものです。製造事業者がものづくりのプロセス全体を俯瞰し、全体最適に向けた業務変革とITソリューション導入の企画立案までを行えるようにすることを目的としています。これは日本の製造業が抱える課題に対応するための重要なステップであり、今後の製造業の競争力向上に大きく貢献するものと期待されています。

JMACP4 「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」(SMDG)

【資料:JMACP4 「スマートマニュファクチャリング構築ガイドライン」(SMDG)】

ガイドラインの特徴として、4つの重要なポイントが挙げられました。まず第一に「個別最適ではなく全体最適」を目指すことです。ものづくりの機能連鎖「マニュファクチャリングチェーン」の繋がりを重視し、エンジニアリングチェーン、サプライチェーン、プロダクションチェーン、サービスチェーンという4つの連鎖を対象に最適化を図ります。このアプローチにより、部門間の連携が強化され、より効率的な生産体制の構築が可能になります。

第二に「経営課題(KGI)を踏まえたものづくりの変革」を起点にすることです。システムやITツールの導入ありきではなく、何を実現すべきか、どう業務を変えていくかを重視しています。この視点は、技術導入の本来の目的を見失わないために非常に重要です。

第三に「中堅・中小製造業のデジタル化・スマート化も支援」することです。大企業の先進的取り組みだけでなく、各事業者の状況に応じたDXの水準を設定できるよう配慮されています。これにより、規模に関わらず多くの製造業者がDX推進の恩恵を受けることができます。

第四に「ITソリューション導入において製造事業者が主体的に企画できる」ようにすることです。ITベンダーの言いなりにならず、事業者自身が必要なソリューションを明確にイメージして協議・検討できるようにしています。これは長期的な視点でのシステム活用において極めて重要な要素です。

ガイドラインは本編と7つのリファレンス資料で構成されています。本編では背景・目的や全体の構成、マニュファクチャリングチェーンの説明、変革課題マップ、プロジェクトの進め方などが紹介されています。リファレンス資料では、製造事業者が自律的に検討できるように補助資料が用意されています。これらの資料は実務での活用がしやすいよう工夫されており、具体的な検討プロセスを支援します。

JMACP9 本ガイドラインの構成:スマート化の道筋を描く「7つのリファレンス」

【資料:JMACP9 本ガイドラインの構成:スマート化の道筋を描く「7つのリファレンス」】

具体的なガイドラインの活用方法としては、まず本編を読んで全体最適化の重要性を理解します。その後、リファレンス1~3を使って自社の経営課題・変革課題を特定し、リファレンス4で目指すべき水準(ありたい姿)を検討。最後にリファレンス5で必要なITソリューションや取り扱う情報を具体化していきます。このステップバイステップのアプローチにより、複雑に見えるDX推進も体系的に取り組むことが可能になります。

中堅製造業におけるERP導入の失敗要因と成功のポイント

続いて、今回のテーマのひとつになっている「ERP」について、特に製造業におけるERP導入の難しさや、成功させるためのポイントなどについて説明しました。ERPはEnterpriseResourcePlanningの略で、企業の持つ様々な資源を統合的に管理し、経営の効率化を図るシステムです。

製造業に限らず、多くの事業者が基幹系システムの再構築を進めています。その際、経営層はマネジメント層として会社の売上や利益の向上に向けた経営実態の可視化や早期の経営判断を期待しています。一方、現場層は業務オペレーションの効率化・自動化を期待しています。このように立場によって期待値が異なることが、ERP導入プロジェクトを複雑にする一因となっています。

このような状況の中、実際にERP導入は様々な要因で失敗に終わることもあります。活動目的や目標が曖昧になる、現行業務をそのまま踏襲してシステムを置き換えるだけになる、要求事項が過剰に肥大化するなどの問題が起こりがちです。また、部門間の連携不足や、短期的な成果への過度な期待も失敗の原因となることがあります。

こうした失敗を避けるためには、単に情報システムを入れ替えるだけでなく、業務改革を通じて業務の成熟度を高めることが重要です。情報システムの装備度合いと業務の成熟度の両方を高めていく必要があります。ERPの導入は「管理支援ツールの導入」のレベルに相当しますが、それだけでは不十分で、業務改革も合わせて実施することが成功の鍵となります。実際、成功事例の多くは、システム導入と業務改革を両輪として進めているケースです。

JMAC P20 「業務改革」の重要性とSMDガイドラインの有用性】

【資料:JMAC P20 「業務改革」の重要性とSMDガイドラインの有用性】

ERP導入の全体的な流れとしては、IT構想の企画立案から始まり、最終的にシステムの移行・運用に至るプロセスがあります。業務改革はこの前半部分(上流工程)に位置づけられ、近年はSIer(システムインテグレーター)やシステムベンダーも上流の業務改革フェーズをサポートするようになっています。これは、システム導入の成功には業務改革が不可欠であるという認識が広まってきたことの表れといえるでしょう。

DX推進における中堅企業の現状と、伴走支援の重要性

次に株式会社サンネットから、DX推進における中堅企業の現状、課題と、DXの伴走支援の重要性について解説がありました。DXはデジタルトランスフォーメーションの略で、単なるデジタル化ではなく、デジタル技術を活用したビジネスモデルの変革を意味します。

まず注目すべきは、2024年が「中堅企業元年」と位置づけられ、中堅企業の成長促進に政府が取り組んでいることです。中堅企業が注目される理由は、過去10年の経済や投資において大企業に比べて国内・海外の売上を伸ばしていることや、従業員数・給与総額の伸び率が大企業を上回っているからです。経済産業省は、新規事業開発や省力化の取り組みで生産性を向上させ、業務改革や働き方改革に精力的な企業への支援・投資を強力に後押ししています。この政策は日本経済の持続的成長のために重要な取り組みとして位置づけられています。

中堅・中小企業のDX推進は、必要不可欠

【資料:P8 中堅・中小企業のDX推進は、必要不可欠】

一方で、中堅・中小企業におけるDXの取り組みは大きく遅れています。経済産業省の調査によると、デジタル化が未着手またはデジタライゼーションの段階にある企業が全体の約3分の2を占める状況です。しかし、高度なデジタル化やDXに取り組んでいる企業は着実に生産性や売上を伸ばしており、DXへの取り組みが企業価値向上に直結することは明らかです。特に労働生産性については、DXの取り組みが進んでいる企業ほど高い改善が見られることが統計的にも示されています。

中堅・中小企業のDX推進は、独力では困難

【資料:P9-10 中堅・中小企業のDX推進は、独力では困難】

このような中堅・中小企業にとって、DXの取り組みは必要不可欠ですが、人手不足や情報不足など様々な課題があります。経済産業省も「中堅・中小企業等は独力でのDX推進は困難」と認識しており、新たなアプローチとして「地域の伴走役たる支援機関によるDX支援」を推奨しています。この考え方は、企業がDXを進める際には外部の知見や支援が効果的であるという実践的な洞察に基づいています。

特に「DXのかかりつけ医」として、地域金融機関、地域ITベンダー、地域のコンサルタントが、中長期的に企業に伴走することが重要とされています。かかりつけ医の役割は、何でも相談できる、必要な時に専門家を紹介してくれる、身近で頼りになる存在であることです。これは医療におけるかかりつけ医の概念を企業支援に応用したもので、継続的な関係性の中で企業の成長を支援する新しいモデルです。

かかりつけ医とは

【資料:P28 かかりつけ医とは】

ERPを使った業務改革の秘訣として、3つのポイントが挙げられました。第一に「FittoStandardが浸透していること」です。トップから現場まで、システムの標準機能に合わせて業務を変えるという意識が必要です。これは、カスタマイズを最小限に抑え、システムの持つ標準的な機能を最大限活用するという考え方です。第二に「システムの更新が目的にならないこと」です。業務課題の解決が最も重要であり、システムの更新自体が目的にならないようにします。第三に「全体最適化に向けた中長期的な計画」です。DXのかかりつけ医と共に、長期的視点で改革を進めることが大切です。これらのポイントは、多くの導入失敗事例から導き出された貴重な教訓といえます。

サンネットは、このようなDXのかかりつけ医として、様々な悩みを抱える企業の伴走支援を行っています。例えば、部分的なDXや可視化までで留まり次のステップが分からない企業、課題感を持ち変えたいと思いながらも葛藤している企業、業務フローや課題整理はできたが次に進めない企業など、それぞれの状況に応じたサポートを提供しています。企業の状況やニーズに合わせたきめ細かいアプローチが、成功への鍵となります。

具体的には、単なる商品紹介ではなく、企業の課題感の優先度を見極めコンサル的なアプローチをしたり、業務整理の提案を行い一緒に課題解決に取り組んだり、定期的な訪問や情報提供を通じて情報システム部門と現場を巻き込んで進めるなど、きめ細かい支援を行っています。このような伴走型の支援は、企業が自社の課題に主体的に取り組むための重要な後押しとなります。

サンネットはこれまで、2015年からmcframe導入支援を行い、7社の導入実績があります。導入事例としては、半導体関連製造業、プラスチック製造業、ポンプ製造業など様々な業種での実績があり、それぞれレガシーシステムからの脱却、属人化の排除・情報の集約、管理精度向上などの課題解決に貢献しています。こうした実績の積み重ねがサンネットの強みとなっており、新たな顧客への質の高い支援を可能にしています。

まとめ

中堅製造業の業務改革とERP導入において、経済産業省が推進するスマートマニュファクチャリング構築ガイドラインは重要な指針となります。全体最適の思考、経営課題を踏まえた変革、各事業者の状況に応じたアプローチ、製造事業者の主体的な企画立案という4つのポイントを押さえることが大切です。

ERP導入の成功のためには、単なるシステム更新ではなく業務改革を併せて実施することが不可欠です。特に「FittoStandard」の意識浸透、課題解決を最優先すること、中長期的な計画に基づく全体最適化の3点が成功の秘訣となります。これらのポイントは、多くの失敗事例や成功事例から導き出された教訓であり、新たにERP導入を検討する企業にとって貴重な指針となるでしょう。

また、中堅企業のDX推進においては、独力での取り組みには限界があり、「DXのかかりつけ医」としての伴走支援が重要です。サンネットのような地域のIT企業が、コンサル的なアプローチや技術的な知見を活かし、企業のDX推進を支援することで、業務改革の成功確率を高めることができます。このような継続的な関係性の中で培われる信頼関係は、長期的なDX推進において大きな価値を持ちます。

製造業の業務改革とERP導入に取り組む際は、ガイドラインを活用しながら、自社の課題を明確にし、適切なパートナーと共に中長期的な視点で進めていくことが成功への道筋となるでしょう。一歩一歩着実に進めていくことで、競争力の向上や生産性の改善など、真の業務改革の成果を享受することができます。

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