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製造DXコラム

記事公開日

PLCにセキュリティはなぜ必要?対策方法や注意点を解説

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製造現場のデジタル化が進む中、PLCのセキュリティ対策は企業にとって大きな課題となっています。

従来、クローズドな環境で運用されていたPLCですが、IoTやスマートファクトリー化によってネットワークに接続される機会が増え、サイバー攻撃のリスクが急速に高まっています。

本記事では、PLCセキュリティがなぜ必要なのか、具体的な脅威や対策方法、そして実践する際の注意点について詳しく解説します。

PLCとは?

PLC(Programmable Logic Controller:プログラマブルロジックコントローラ)とは、工場やプラントなどの製造現場で、生産ラインや設備を自動制御するために使用される産業用コンピュータの一種です。

リレー回路の代替として開発され、その高い信頼性とリアルタイム性から、生産プロセスの自動化に不可欠な存在となっています。

従来、PLCが稼働する制御システムは、外部ネットワークから物理的に隔離された「クローズドな環境」で運用されることがほとんどでした。そのため、一般的なITシステムに比べてサイバー攻撃のリスクは低いと考えられてきました。

PLCにセキュリティ対策が必要な理由

近年、IoT(Internet of Things)やスマートファクトリー化の進展により、製造現場のデジタル化が急速に進んでいます。

これにより、PLCを含むOT(Operational Technology:運用技術)システムが、IT(Information Technology:情報技術)ネットワークやインターネットに接続される機会が飛躍的に増加しました。

このITとOTの融合は、生産効率の向上や遠隔監視・制御といった多大なメリットをもたらす一方で、PLCがサイバー攻撃の新たな標的となるリスクを増大させています。

PLCが直面するセキュリティ脅威

PLCが直面するセキュリティ脅威は多岐にわたります。主な脅威として、以下の点が挙げられます。

マルウェア・ランサムウェア感染

USBメモリやネットワーク経由で侵入し、PLCの動作を停止させたり、制御プログラムを改ざんしたりする。生産停止や身代金要求につながる。

不正アクセス・遠隔操作

外部からシステムに侵入し、PLCの設定変更や不正なコマンド実行を行う。意図しない生産活動や設備の誤動作を引き起こす。

DDoS攻撃(分散型サービス拒否攻撃)

大量の通信を送りつけ、PLCや関連システムを過負荷状態にし、正常な動作を妨害する。

サプライチェーン攻撃

PLCのベンダーや関連するサプライヤーのシステムが攻撃され、正規のソフトウェアやファームウェアに悪意のあるコードが仕込まれる。

内部からの脅威

悪意のある従業員による不正操作や、不注意による誤操作・設定ミス、持ち込みデバイスからのウイルス感染など。

物理的脅威

PLC本体への不正な接続、盗難、破壊など。

PLCセキュリティ対策を怠った場合の影響

PLCのセキュリティ対策を怠ることは、企業に計り知れない損害をもたらす可能性があります。たとえば、以下のような影響が考えられます。

  • 生産停止・遅延:サイバー攻撃によりPLCが停止・誤動作すれば、生産ライン全体が停止し、納期遅延や機会損失が発生します。
  • 品質低下・不良品発生:制御プログラムが改ざんされると、製品の品質基準が満たされず、不良品が大量発生するリスクがあります。
  • 設備損傷・破壊:PLCの異常な制御により、機械設備が過負荷状態になったり、衝突したりして、重大な損傷や破壊に至る可能性があります。
  • 従業員の安全性の脅威:設備の誤動作は、作業中の従業員を危険にさらし、人命に関わる事故につながる恐れがあります。
  • 企業イメージ・信用失墜:大規模な生産停止や事故は、企業のブランドイメージを著しく損ない、顧客や取引先からの信用を失う原因となります。
  • 法的責任・賠償:セキュリティインシデントにより損害が生じた場合、企業は法的責任を問われ、多額の賠償金を支払う義務が生じる可能性があります。

PLCセキュリティの対策方法

PLCのセキュリティ対策は、多層的なアプローチで実施することが重要です。ここでは、主要な対策方法をカテゴリ別に解説します。

ネットワークレベルでの対策

OTネットワークとITネットワークの接続点や、OTネットワーク内部での対策です。

OTネットワークのセグメンテーション

ITネットワークとOTネットワークを物理的または論理的に分離し、さらにOTネットワーク内でもゾーン分け(例:重要度に応じたセグメント化)を行うことで、攻撃の影響範囲を限定します。

産業用ファイアウォール・IDS/IPSの導入

IT/OT境界やOTネットワーク内部に産業用ファイアウォールを設置し、不正な通信を遮断します。また、IDS(侵入検知システム)やIPS(侵入防御システム)を導入し、異常な通信パターンを検知・防御します。

VPN(Virtual Private Network)の活用

リモートアクセスを行う際には、VPNを介して暗号化された安全な通信経路を確立し、盗聴や改ざんのリスクを低減します。

通信の暗号化

PLCと上位システム間の通信や、PLC間の通信において、可能な限り暗号化プロトコルを使用し、データの機密性と完全性を確保します。

不正デバイス接続の防止

ネットワークアクセスコントロール(NAC)を導入し、許可されていないデバイスがOTネットワークに接続されることを防ぎます。

PLCデバイスレベルでの対策

個々のPLC本体やその設定に関する対策です。

パスワード管理の徹底

PLCのログインパスワードや設定パスワードは、初期設定から変更し、複雑で推測されにくいものを設定します。定期的な変更も推奨されます。

ファームウェアの定期的な更新

PLCベンダーから提供されるファームウェアのアップデートには、セキュリティ脆弱性の修正が含まれている場合があります。最新の状態に保つことで、既知の脆弱性を悪用した攻撃を防ぎます。

不要なサービスの停止

PLC上で稼働している不要なポートやサービスは、攻撃対象となるリスクを減らすために停止または無効化します。

アクセス制御・権限管理

PLCへのアクセス権限は、最小権限の原則に基づき、必要な担当者のみに付与し、その権限も必要最低限に制限します。

セキュリティ機能の活用

多くのPLCベンダーは、セキュアブート、署名付きファームウェア、改ざん検知などのセキュリティ機能を製品に組み込んでいます。これらの機能を積極的に活用します。

監視・検知対策

サイバー攻撃の兆候を早期に発見し、対応するための対策です。

ログ監視と分析

PLCやネットワーク機器のログを定期的に収集・監視し、不審なアクセス、設定変更、異常な動作などの兆候を早期に検知します。

異常検知システム(Anomaly Detection System)の導入

OTネットワークのトラフィックやPLCの動作データを常時監視し、通常とは異なる挙動(例:未知のプロトコル通信、異常なコマンド実行)を自動で検知するシステムを導入します。

セキュリティ情報イベント管理(SIEM)

ITシステムとOTシステムから収集されるセキュリティログやイベント情報を一元的に管理・分析し、相関分析によって潜在的な脅威を特定します。

定期的な脆弱性診断・ペネトレーションテスト

システム全体に対して定期的に脆弱性診断やペネトレーションテスト(侵入テスト)を実施し、潜在的なセキュリティホールを洗い出し、改善につなげます。

物理的セキュリティ対策

物理的な手段による不正アクセスや破壊を防ぐ対策です。

PLC設置場所の入退室管理

PLCが設置されている制御盤やサーバールームへの入退室を厳重に管理し、許可された者以外が立ち入れないようにします。

監視カメラの設置

PLCや関連機器の周囲に監視カメラを設置し、不審な行動や不正アクセスを記録します。

キャビネットの施錠

PLC本体が収められている制御盤やキャビネットは常に施錠し、物理的なアクセスを防ぎます。

USBポートの無効化・制限

PLCや関連機器のUSBポートを物理的または設定で無効化するか、使用を厳しく制限し、不正なデバイスからのマルウェア感染やデータ持ち出しを防ぎます。

PLCセキュリティ対策実施時の注意点

PLCセキュリティ対策は、製造現場の特性を考慮した上で慎重に進める必要があります。

生産への影響を最小限にする計画

24時間稼働が前提の製造現場では、システムの停止が困難なため、導入による影響を最小限に抑える計画が不可欠です。事前にテスト環境での十分な検証を行い、リスクの高い箇所から段階的に導入を進めるとともに、万一の事態に備えて迅速な復旧ができるようバックアップ体制を整えておく必要があります。

既存システムとの互換性確認

現場で長期間稼働しているレガシーシステムと新しい対策との相性を確認するため、ベンダーやシステムインテグレーターとの密な連携が欠かせません。最新の対策が適用しにくい旧式のOSやプロトコルに対しては、ネットワークの分離や仮想パッチといった代替手段を検討し、システム全体の安全性を確保します。

段階的な導入アプローチ

すべての対策を一斉に行うのではなく、リスク評価に基づいて優先順位を決め、小規模な範囲から着手するスモールスタートが推奨されます。サイバー脅威は常に進化しているため、導入後も定期的な脆弱性診断や情報の更新を行い、継続的にセキュリティレベルを改善・強化していく姿勢が重要です。

まとめ

IoT・スマート工場化が進む中、PLCのセキュリティ対策は経営上の必須課題です。サイバー攻撃は生産停止や重大事故を招くため、多層的な防御と段階的な導入が求められます。

この対策は継続的な改善が不可欠です。専門パートナーと連携し強固な体制を築くことが、製造業の持続的な発展に繋がります。

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